キム社長と秘書２

プライベート ページ15

『社長 今日の夜の会食はキャンセルになりました』


NJ「なぜ」


『あちらの社長が体調を崩されたそうで』


NJ「なら仕方ないか」



『そうですね。その前に行く予定だった支社回りを
　
　２時間繰り上げようと思います。よろしいですか』



NJ「ああ、そうだな」











相変わらず、Aさんの仕事は完璧だ。


スケジュールの調整が上手で、最近適度にゆとりをもって

仕事ができるようになった。





『今日の夜は早く帰られますか』




ほら 俺のことを気遣ってそうしてくれてる。



NJ「ああ。定時に帰れそうだな」



『よかったです』




フフと静かに笑っている。

言葉には出さないが、嬉しそうな顔だ。




俺が早く帰ることが嬉しいのか

いや、自分も早く帰れるからかもしれない。




早く帰ったら 何をするんだろうか


一人暮らしで自炊をすると言っていたが

どんな家に住んでいて、何を食べて

どんな過ごし方をしているのか






彼女のプライベートはわからない。




特に聞くタイミングもなかったし、

仕事とプライベートは分けるべきだろう。



早く帰ったら、誰かと会うのかもしれない。

男と食事に行く予定だって、あるかもしれない。



もしかしたらそうなのか。

だから嬉しそうなのか。






この間の“好きな人”の件以来、

Aさんの顔色や表情から

勝手な想像をしてしまう自分が嫌になる。






NJ「Aさんは、帰ったら何をしてる？」






『‥‥‥‥え？』





そんなに驚くか


俺がプライベートなことを質問したら変なのはわかるが

そんなに驚くことを聞いただろうか





NJ「早く帰る日は、どういう過ごし方があるのか

　 知りたかっただけだ」





『‥え、そうですね。わたしは帰りに買い物をして、
　少し凝った料理を作ります』



NJ「‥そうか。料理‥」





聞いて何になるのか

でも、慎ましい答えにどこかほっとしている。





『今日は参鶏湯の予定です』



NJ「参鶏湯‥？」



よくわからないが、凝った料理をして一人で食べるのか

誰かのために作るのか？


そんな気がしてきた





『丸鶏から作るんです。美味しいですよ。
　
　ナツメやクコの実も入れて作るんですけど、

　薬膳料理なんですよ知ってますか？』



NJ「ああ」



『体にいいですよ 食べますか？』



NJ「ああ」






ん？



いい加減に返事をしておいて

自分が何を言われたのかよく聞いてなかった。

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