行ったり来たり行き止まり[2]

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私は人間だから"持って行く"より"連れて行く"って言うべきなのに。
自分の私有物みたいな言い方。
それなのに、グラッと大きくときめいたのだ。

こういう時のユンギには敵わない。

こうやっていくつも重ねて立て続けに甘い言葉を淡々と言うからだ。
私の目を見て。

洗い物が終わったのに水が出たままになってしまっていたが、その水をユンギが止めた。
そして辺りは静かになる。


「、持って行ってくれるんですか？」


そんなの無理って分かってるけど。
ユンギの両手が私の腰の辺りを軽く引き寄せた。


「そういう事言うなよ」


眉毛を下げて嘆くように言った後。


「とりあえず今日はこのまま寝室に持って行くけど」


いとも簡単に私を持ち上げてしまうんだ、そのまま。
それから私の好きな低い声で


「四日分ね」


そう言ってリビングのドアを出た。

玄関に向かえば出れるし、隣にある私の城はまだ私の城のままでいつでも帰れるのに。
今日も(・・・)そこに向かう事はなく、ユンギにゆだねた行き止まりの部屋。



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行ったり来たり行き止まり

終

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