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「A」
そう名前を呼ばれるだけで、頭がふわふわと心地良くなるのはユンギの声だけだ。
耳から全身にゆっくりと拡がる低く淡々とした声。
それから陽の光なんて受けてこなかったような陶器のような白い肌なのに、よく見ればパーツはしっかりと男の物で、そんなギャップに不意にまたドキッとさせられたり。
余裕があって温冷の使い方が絶妙だったり、かと思えば急に分かりやすく拗ねたりしたり、肩を揺らして子供のような屈託ない笑顔で笑ったり。
少しずつ知ったらこれにもあれにも慣れて、倦怠期が来るんだろうか。
ユンギのお母さんが"この子の扱いは大変"って言ってたように、そんな時期がいつか来るのだろうか。
「A!」
パンと薄い雑誌を目の前で閉じられて考え事に没入していた事に気付いた。
考え事、というのはユンギの事だけれども。
「どうしたの?まだ半分も食べてないけど」
雑誌を思い切り閉じたのはドユンだったけれど、私にそう聞いたのはBTSファンの同期だ。
それから同期複数名が私を"大丈夫かこいつ"という目で見ていた。
「、ちょっと考え事してただけ」
いけない、いけない。
うっかり数日前の"刺激的過ぎた夜"の事を思い出して浸ってしまっていた。
変態か、私は。
スプーンを手にしてすっかり冷めたテンジャンチゲを一口食べた。
「そのネックレス、ユンギが好きなブランドのやつじゃない?」
食べたそばから吹き出すかと思った。
だから言わんこっちゃなかった。
ここで取り繕えなかった私にも問題があるとしても、だ。
ゲフンゲフンと変な咳をした私に全員の目が。
それからドユンが'まさか'と極々小さい声で言うから、私はシルバーの真新しいネックレスを隠すようにシャツの一番上のボタンを閉めた。
「え、待って、どういう事?」
BTSファンの同期がいよいよ箸を置いてしまった。
あーもう、だから。
「相手が誰とはあえて言わないけど、どういう事かと聞かれたら
確かに静かではあったが、不思議そうな同期達の中でBTSファンは表情が充分五月蝿かったし、ドユンは眉間の辺りを抑えて暫く俯いていた。
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かむ(プロフ) - にゃんさん» 最後まで読んで頂きありがとうございます🥹しかも新しいのまで!何回でも読み返して下さい!笑 (4月2日 15時) (レス) id: 5dfe42fd36 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - ユンギさんのお話最高でした!!最高すぎるのでもう一度読み返しに行ってきます!!(今更新中のお話もとても楽しく読んでます!私の日々の楽しみです!) (4月2日 12時) (レス) id: b48cf01a74 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - u512さん» 私のペンになんて嬉し過ぎます🥲✨私もいつも終わらせたいような終わらせたくないような気持ちで書いてます!(笑)最後まで読んで頂きありがとうございます🥹 (4月1日 10時) (レス) id: fb7c0dcb39 (このIDを非表示/違反報告)
u512(プロフ) - やはり最高です‼️‼️かむさんペンになってしまいました‼️一生終わらないで欲しいと毎度思ってます‼️最強に拗らせられました‼️‼️これからも楽しみにしています🥹✨ (4月1日 9時) (レス) @page34 id: 37a21340a3 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - 苺あめさん» 見てきたかのようななんて嬉しいです🥹こちらこそ読み続けて頂いてありがとうございます! (3月31日 20時) (レス) id: 03d417d136 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かむ | 作成日時:2024年3月27日 23時