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退勤後ドユンと共にそのまま私の家に向かった。
途中カフェでコーヒーだけテイクアウトして。
「やっぱり食べ物もなんか買った方が良かったんじゃない?」
「なんか食べたければ私が作るからいいってば」
家に着くなりドユンが何回目かのそれを言うから言葉尻にうんざり感が出てしまった。
でもドユンにとっても私にとっても別に日常的によくある会話で特別気分を害すとかはない。
コーヒーを置いたソファの前のテーブル。
ドユンはソファに先に腰を下ろしたけれど私は
「ちょっと着替えだけするから待ってて」
と、ドユンを残してウォークインクローゼットへ。
家にいるのだからいつまでも私服でいるのも落ち着かない。
だから部屋着に着替えようと。
相談を真剣に聞くつもりがない、わけではない。
そこは決して比例しない。
何ならユンギの事で抜け落ちていた事に多少なりとも罪悪感があるわけで、今日は真剣に聞いて真剣に答えようと思っているくらいだ。
部屋着に着替えて戻るとソファに座っているドユンが暇を持て余して携帯をいじっていた。
「どうする?何か作る?スコーンとか?」
後ろ姿に声をかけた。
「スコーン?そんなの作れんの?」
「簡単なやつになっちゃうけどスコーンなんかすぐだよ、じゃあ悪いんだけどもうちょっと待ってて」
感心する様に'へぇー'と言ったドユンがご所望のようだから、スコーン作りの為にまずオーブンの予熱だ。
もしスコーンが余ったらユンギに持って行こうかな、なんてブルーベリーを生地に混ぜてる時に考えて首を小刻みに横に振った。
何がある度にユンギって。
こんなんじゃ気持ち消すどころか、だ。
でも実際不思議なのだ。
会わない、会いたくない。
そう思ってるのは事実なのに、時々ふと"会いたい"って思いが過ぎる。
それから"いやいや"と自分を戒める所までやる。
オーブンから良い匂いがしてくると、程なくしてしっかりと良い色に焼けたスコーンと御対面だ。
ユンギはスコーンなんかも食べるのだろうか、とまたそんな事を考えてる自分にも気付かないままスコーンを平たい皿に二個乗せた。
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かむ(プロフ) - サマンサさん» 彼には平然と煽ってもらいたくてこうなりました😂 (3月27日 19時) (レス) id: 03d417d136 (このIDを非表示/違反報告)
サマンサ(プロフ) - 煽り上手なユンギ痺れます...! (3月27日 17時) (レス) @page43 id: 950212af01 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - 苺あめさん» こちらこそ目を通して頂きありがとうございますㅜㅜ少しのんびり更新ですがにはなってますが是非最後までお付き合いいただけたら嬉しいです! (3月26日 12時) (レス) id: e587d3099d (このIDを非表示/違反報告)
苺あめ(プロフ) - かむさん、ユンギのお話をありがとうございます。ユンギと隣の彼女の関係が出会ってから急激に近くなって、でも元カノも出てきたりして、この先の展開が楽しみで仕方ありません。毎回、更新を楽しみにしています。これからも頑張って下さい。 (3月26日 10時) (レス) @page36 id: 3780d68ff4 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - にゃんさん» わーありがとうございます🥹そしてユンギペンさま…ご期待に添えられるかわかりませんが、良ければ最後までお付き合い頂けたら嬉しいです🥹 (3月21日 9時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かむ | 作成日時:2024年3月20日 20時