行ったり来たり行き止まり

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寝る直前に戸棚の一角に飾ったユンギから貰ったオルゴールを聞いた。
聞いた事あるけど曲の名前なんだっけ、なんて思いながら。
ベッドの上に胡座をかいて。

部屋の掛け時計の時間は午前0時を回っていた。
明日は休みだから心にゆとりがある、はずなのにどこか浮かない気分なのは何故か。

あーそうだ。
ドユンが相談したいって言ってた、それを連絡しなきゃって、それで気が重いのか。
面倒とは思わないけれど、タイミングが今じゃないっていうか。

でも"今じゃない"と思う理由が分からない。
だからオルゴールを聞きながら満月を眺めるだけの時間が過ぎていく。
明日の天気予報は確か晴れだったはず＿＿＿＿＿


ーーー♩


携帯を手にした直後にその携帯が鳴った。

-민윤기-

着信の名前に出るかどうか躊躇する。
でも電話をかけてくるという事はきっと元彼女とは一緒にいない、という事だろう。
でも今は別に話す事なんか、と思いつつも鳴り続ける携帯の"応答"をスライドした。

'もしもし'というお互いの声が被った。
初めてのことだ。


「、ユンギさんカトク見ました？」


すかさず口火を切ったのは私だ。
'うん、見た'と返ってきたユンギの声が"いつも通り"で少しホッとする。
でも直ぐにユンギから'あのさ'と。


「別にAが変な気回して急に帰ったりする必要なかったのにって言おうと思ったんだよ」


オルゴールの音は止んだけれど見ているのは目の前の満月だ。

ユンギの言ってる事は分かるけど、私があそこで気を回さなかったら二人の仲が拗れたはずだ。
元彼女は私の存在をただの隣人だと思ってるのに、一緒に食事してたなんて分かったら、それこそ。

それでなくても一度別れた者同士なのに私なんかのせいで＿＿＿＿＿


「それから」


言葉を全部飲み込んだ私にユンギが続ける。


「ケーキ、食べ切れないから、今から来なよ」


嘘だ、そんなの。
一人でも二人でも食べられる様に小さめに作ったのに、食べきれない訳ないじゃん。
しかももう0時過ぎてるのに今から来いって？
なんで私が…


「…元彼女さんと食べれば良かったのに」

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