41 ページ41
「は?もう注文したの?」
小ぶりな目をパチパチと瞬きさせるユンギを見ずに'はい'と返事をして冷蔵庫を開けた。
もはや自分の家のように冷蔵庫を勝手に開けているし、ユンギもそれに別に何も言わないという現状。
ヤンコチはユンギの家に来る直前に注文した。
何故ならお金を払う目的もあるが、予め近隣で美味しいと評判の店の物を注文したかったからだ。
「ユンギさん、ちょっと」
それよりも、だ。
ダイニングテーブルの前の中途半端な位置で、テレビのリモコンを持ったまま意味なく立ち尽くしているユンギを呼ぶ。
「これ冷蔵庫に入れたいんで、場所開けて下さい」
リモコンをダイニングテーブルの上に置いたユンギが素足でペタペタと歩いて来る。
それから私の指示通り冷蔵庫をゴソゴソと。
「それ何?」
「まだ秘密です、ヤンコチ食べ終わったら食べる用なので」
'あーそう'と面倒くさそうに答えたユンギは私の事を見もしないが、冷蔵庫は少しスッキリしてその部分に無事持って来た物を入れる事ができた。
ヤンコチが来るまでダイニングテーブルにお箸を並べたり器を置いたり。
それから私が持って来た簡単なおかず類も並べて、コップは二個。
「A」
食器棚からコップを二個手にした瞬間、左手首をユンギに掴まれた。
何かまずい事でもしてしまったのだろうか、なんて思ったのに左手首がやたら熱い。
左側のユンギと目が合う。
な、何だこれは…
「今日は酒飲むなよ」
は…
頭が二つに割れてパーンと巫山戯たおもちゃ類か何かが弾け出そうなくらい、呆気に取られた。
わざわざ手首まで掴んで言う事じゃないでしょ…!?
「そんな事言われなくても…」
「今日」
ユンギの手が私の手首を少し引いたのと同時に、私の反論を遮った低い声。
「酔ってまた寝たら、本当に寝室連れてくから」
'どういう事か分かるじゃん?'と聞かれても"分からない"と言える年齢じゃない事を恨めしく思った。
ただユンギの目の奥が本気なのか冗談なのか、それを確かめる事だけに必死で。
掴まれている手首から、私の壊れたように早く強くなった脈拍がユンギに伝わってないと良いのだけれど。
この状況は何なんだ。
553人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かむ(プロフ) - サマンサさん» 彼には平然と煽ってもらいたくてこうなりました😂 (3月27日 19時) (レス) id: 03d417d136 (このIDを非表示/違反報告)
サマンサ(プロフ) - 煽り上手なユンギ痺れます...! (3月27日 17時) (レス) @page43 id: 950212af01 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - 苺あめさん» こちらこそ目を通して頂きありがとうございますㅜㅜ少しのんびり更新ですがにはなってますが是非最後までお付き合いいただけたら嬉しいです! (3月26日 12時) (レス) id: e587d3099d (このIDを非表示/違反報告)
苺あめ(プロフ) - かむさん、ユンギのお話をありがとうございます。ユンギと隣の彼女の関係が出会ってから急激に近くなって、でも元カノも出てきたりして、この先の展開が楽しみで仕方ありません。毎回、更新を楽しみにしています。これからも頑張って下さい。 (3月26日 10時) (レス) @page36 id: 3780d68ff4 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - にゃんさん» わーありがとうございます🥹そしてユンギペンさま…ご期待に添えられるかわかりませんが、良ければ最後までお付き合い頂けたら嬉しいです🥹 (3月21日 9時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かむ | 作成日時:2024年3月20日 20時