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ユンギのヘッドホンが何かなんて知らなかった。
くれる事自体も考えられなかったのに、まさかお揃いだなんて尚更、思い付きもしなかった。
それからは勿論食事どころじゃなくてだいぶ食べ残った食事を先に片付けて
「ちょっと早めにやらなきゃいけない仕事あるから、先に戻るね」
と、嘘をついて逃げた。
そんな仕事一つもない。
ただそれ以上輪の中にいると根掘り葉掘りじゃ済まなそうだったから。
だってBTSファンの同期がキラッキラした目を私に向けて身を乗り出してまで
「そこまでするんだからさ、もしかして、ユンギもAの事好きなんじゃない?」
なんて言うから。
そんな馬鹿な。
部署に戻るとまだ休憩中で出てる人が多いからか空間がだいぶ静かだ。
さっきまでの喧騒からの対比で余計静かに感じる。
だからヘッドホンをした後で、まるで習慣のようにユンギの歌を流す。
嘘をついたから特別やる仕事なんかなくて、そのまま携帯をいじりながら爪先が自然と曲と同じリズムで動く。
携帯の画面には次は何を作ろうかなってレシピを見ている最中。
肩を叩かれてふと隣に目をやる。
ドユンだ。
「戻って来るの早いね」
音楽を止めずに先にヘッドホンを外したから、そこから微かにシャカシャカとまだユンギの声が聞こえる。
「A、あのさ」
棒付きの飴を食べるドユンが私の言葉はスルーした。
まぁ特別返事が必要な言葉じゃなかったけど。
「今度時間ある時、相談したい事があるんだけど」
ドユンの改まった言い方に音楽を止めた。
「いいけど、ていうか今でも別に構わないよ?」
「いや…今はちょっと」
首に掛けていたヘッドホンをデスクに置いたのに、視線をそのヘッドホンに目を向けたドユンからお断りが返ってきた。
「じゃあ、いつにしようか」
「今度時間ある時、Aの家に行ってもいい?」
「あーうん、いいよ、まぁ家の方がゆっくり話せる事あるしね」
余程深刻な内容なんだろうか。
ドユンは'ありがと'と言って私の肩を叩くと、またヘッドホンを一瞥して何処かに行った。
ヘッドホンがそんなに気になるのか。
ドユンが欲しかったヘッドホンなのだろうか。
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かむ(プロフ) - サマンサさん» 彼には平然と煽ってもらいたくてこうなりました😂 (3月27日 19時) (レス) id: 03d417d136 (このIDを非表示/違反報告)
サマンサ(プロフ) - 煽り上手なユンギ痺れます...! (3月27日 17時) (レス) @page43 id: 950212af01 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - 苺あめさん» こちらこそ目を通して頂きありがとうございますㅜㅜ少しのんびり更新ですがにはなってますが是非最後までお付き合いいただけたら嬉しいです! (3月26日 12時) (レス) id: e587d3099d (このIDを非表示/違反報告)
苺あめ(プロフ) - かむさん、ユンギのお話をありがとうございます。ユンギと隣の彼女の関係が出会ってから急激に近くなって、でも元カノも出てきたりして、この先の展開が楽しみで仕方ありません。毎回、更新を楽しみにしています。これからも頑張って下さい。 (3月26日 10時) (レス) @page36 id: 3780d68ff4 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - にゃんさん» わーありがとうございます🥹そしてユンギペンさま…ご期待に添えられるかわかりませんが、良ければ最後までお付き合い頂けたら嬉しいです🥹 (3月21日 9時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かむ | 作成日時:2024年3月20日 20時