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誕生日でもないし引越し祝いなんて事も一言もないユンギは、ただヘッドホンをくれたのだ。
だからこれじゃあ私もポッサムくらいじゃ割に合わないと思ったのだけれど
「別に何もいらないから余計な事考えて余計な物持ってくるなよ?」
と、もう私がクロックスを履いて通路に一歩足を踏み出した後で釘を刺されてしまった。
余計な事はまだ分かるけど、余計な物って…!
帰るギリギリに言うのってなんか本気度が高い気がする。
仕方なく'はいはい'と返事しながら隣に移動してドアに手をかける。
そんな私の首には真新しいヘッドホン。
「余計な物はいらないけど、Aが作った物はそれに含まれないから」
自分の部屋のドアから顔だけ覗かせて何を言うかと思えば。
しかも'よろしく'と言って細くて長い指の手を振って。
じゃあ、次は何を作って持って行こうか早速考えないといけないじゃん。
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「A、ヘッドホン新しくした?」
首に掛けてる私のそれが指摘されたのは同期五人で食堂で食事している時だった。
こういうのに気付くのは大体女で、今回も女の同期だった。
だからとりあえず'うん'とだけ答えてスプーンで掬ったキムチチゲを口に運んだ。
「それ、ユンギと同じヘッドホンじゃない?」
次のその言葉を言ったのはBTSファンの同期だった。
まだ噛み砕いてない具をそのまま飲み込んでしまう程驚いたし、私以外の同期四人が私と私のヘッドホンに集中した。
勿論話しの焦点は"何処のヘッドホンか"などではなく
「ユンギって誰?」
事情を知らない同期の口から出たそれだ。
しかも名前からして"男"だと言うのは一目瞭然で。
「ねぇもしかしてそれユンギって人に貰ったとか?だってお揃いって…」
「、いや、ていうか、お揃いとか知らなくて!ただ急にくれて…」
「えーっ!やっぱりユンギに貰ったの?!」
あー…しまった。
完全に墓穴を掘った。
慌てふためくよりどちらかというと、落胆というか意気消沈というか。
しかもそれより顔が熱くて熱くて。
多分食べてるキムチチゲのせいだから食べるのをやめて、隣のドユンに'あげる'と言って鍋を寄せた。
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かむ(プロフ) - サマンサさん» 彼には平然と煽ってもらいたくてこうなりました😂 (3月27日 19時) (レス) id: 03d417d136 (このIDを非表示/違反報告)
サマンサ(プロフ) - 煽り上手なユンギ痺れます...! (3月27日 17時) (レス) @page43 id: 950212af01 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - 苺あめさん» こちらこそ目を通して頂きありがとうございますㅜㅜ少しのんびり更新ですがにはなってますが是非最後までお付き合いいただけたら嬉しいです! (3月26日 12時) (レス) id: e587d3099d (このIDを非表示/違反報告)
苺あめ(プロフ) - かむさん、ユンギのお話をありがとうございます。ユンギと隣の彼女の関係が出会ってから急激に近くなって、でも元カノも出てきたりして、この先の展開が楽しみで仕方ありません。毎回、更新を楽しみにしています。これからも頑張って下さい。 (3月26日 10時) (レス) @page36 id: 3780d68ff4 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - にゃんさん» わーありがとうございます🥹そしてユンギペンさま…ご期待に添えられるかわかりませんが、良ければ最後までお付き合い頂けたら嬉しいです🥹 (3月21日 9時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かむ | 作成日時:2024年3月20日 20時