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違う違う、また早とちり。
「まぁそりゃ好きだよ、じゃなかったら歌聞いたりしないし、隣に行ったりもしないし」
一瞬違う方の"好き"を考えちゃって、馬鹿だ。
私に好きかどうか聞いたのはBTSファンなのだから、当然ファンとしての"好き"なのに。
それに私にそれ以外の"好き"が生まれたとして?
いやいや、あり得ない話。
へそで茶を沸かす並の可笑しな話。
同期が何か言おうと口を開きかけたけれど、この部署の長が会議するぞーって集合をかけてユンギの話は終わった。
一先ずは"事なきを得た"状況で丸く収まった。
「A」
会議が終わってデスクに戻った直後、ドユンが声を抑えて話しかけてきた。
「お前、ちょっと無用心過ぎだから」
まるでユンギみたいな事を言う、唐突に。
脈絡のない発言に'何が?'と今度は私が眉を顰めた。
「いやだからそうやって簡単に男の部屋に出入りする事だよ」
そこでやっとユンギの話の続きのような内容だと理解した。
でも、私からしたら男の部屋に出入りとか、無用心とかそんな事。
「何言ってんの、天変地異が起きても何にもないよ。芸能人だよ?アイドルだよ?よく考えたら分かるでしょ、笑」
「芸能人とかアイドルとかの前に男じゃん」
「いやだからユンギさんが男とかそういう…」
そこで私の携帯がポケットの中で震えた。
デスクに出すのを忘れていたけれどバイブレーションのおかげで気付いて良かった。
-민윤기-
「…ユンギ」
その名前を口にしたのは私じゃなくて、画面を見たドユンだった。
「ごめん、ちょっと電話してくる」
デスクで電話に出たら横からドユンに何を言われるか分からない。
電話をして戻ったらドユンの確証のない勘違いが終わって、仕事に勤しんでる事だろう。
喫煙ルームの隣のスペースに着く少し前に応答をスライドした。
'もしもし'と言う自分の声が少し他所行きのそれなのがちょっと変だ。
「仕事中にごめん」
出だしのユンギの声がそれで慌てて'全然平気です'と答えた。実際平気だから嘘じゃない。
職場にいるのにユンギから電話がかかってきて、ユンギと喋っているというこの状況に鳩尾の奥の辺りがソワソワした。
人生で初めての感覚だ。
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かむ(プロフ) - サマンサさん» 彼には平然と煽ってもらいたくてこうなりました😂 (3月27日 19時) (レス) id: 03d417d136 (このIDを非表示/違反報告)
サマンサ(プロフ) - 煽り上手なユンギ痺れます...! (3月27日 17時) (レス) @page43 id: 950212af01 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - 苺あめさん» こちらこそ目を通して頂きありがとうございますㅜㅜ少しのんびり更新ですがにはなってますが是非最後までお付き合いいただけたら嬉しいです! (3月26日 12時) (レス) id: e587d3099d (このIDを非表示/違反報告)
苺あめ(プロフ) - かむさん、ユンギのお話をありがとうございます。ユンギと隣の彼女の関係が出会ってから急激に近くなって、でも元カノも出てきたりして、この先の展開が楽しみで仕方ありません。毎回、更新を楽しみにしています。これからも頑張って下さい。 (3月26日 10時) (レス) @page36 id: 3780d68ff4 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - にゃんさん» わーありがとうございます🥹そしてユンギペンさま…ご期待に添えられるかわかりませんが、良ければ最後までお付き合い頂けたら嬉しいです🥹 (3月21日 9時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かむ | 作成日時:2024年3月20日 20時