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私の作ったトッポッキを見たユンギは小さな声で'すご'と。
まだ食べる前の段階で、だ。
「どの辺がですか?」
思わず聞かずにはいられなかった。
ピザ用チーズがレンジの中でゆったり回ってる最中、鍋の中を覗き込んだままのユンギ。
「具が多くて」
「もしかして少ない派でした?」
「いやむしろ逆、玉子入ってるとか…分かってるじゃん」
全然私の方を見ないで答えるその姿と発言からして、随分トッポッキをお気に召したと分かる。
しかもチーズって言い出したのはユンギの方だ。
総じて声をかけて正解だった、という事だ。
大きめの器に盛り付けてその上から溶けたチーズをかけた物をダイニングテーブルの上に置いたのは私。
その時ユンギが何をしていたかというと
「飲める?」
と言って焼酎の瓶を翳して見せてきた。
それはもう、願ったり叶ったり。
「飲めますとも」
意図しない遅めの晩酌が幕を開けた。
しかもユンギと共に。
ユンギが静かに行儀良く'いただきます'と言うのを知っていたから、今回は同じタイミングで言えた。
その後でお互いに焼酎を注ぎ合って
「はい、お疲れ」
ユンギの軽い労いの言葉と共に、コップ同士が軽い音を立てて鳴った直後ぐっと飲み干す。
顎が上がったらユンギの白い首にしっかりと喉仏が浮き出ていて、男らしさを感じた。
一口一口遠慮なく豪快に食べていくユンギは、途中から焼酎ではなくウイスキーなんて飲み始めて度肝を抜かれた。
「なんですかその度数!」
「なんでも何もそんな量飲まないから大した事ないよ」
いや大した事あるでしょ。
怖い発言をあっけらかんと言い放って手酌で。
一方の私はお酒は好きだけれど、ウイスキーなんかとてもじゃないけれど飲んだ事はない。
多分飲む事は不可能。
何故かって、どちらかと言うと"下戸"だからだ。
だから今現在焼酎何杯飲んだかなって思い返そうとしても、頭がふわふわして考えられない。
無意味な数字が行ったり来たりするだけ。
それでもまだコップに残る焼酎を飲んでしまうのは、多分、今この場がやけに楽しいからだ。
明日が仕事だなんて事が、とっくに頭の中から消し飛ぶくらいに。
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かむ(プロフ) - サマンサさん» 彼には平然と煽ってもらいたくてこうなりました😂 (3月27日 19時) (レス) id: 03d417d136 (このIDを非表示/違反報告)
サマンサ(プロフ) - 煽り上手なユンギ痺れます...! (3月27日 17時) (レス) @page43 id: 950212af01 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - 苺あめさん» こちらこそ目を通して頂きありがとうございますㅜㅜ少しのんびり更新ですがにはなってますが是非最後までお付き合いいただけたら嬉しいです! (3月26日 12時) (レス) id: e587d3099d (このIDを非表示/違反報告)
苺あめ(プロフ) - かむさん、ユンギのお話をありがとうございます。ユンギと隣の彼女の関係が出会ってから急激に近くなって、でも元カノも出てきたりして、この先の展開が楽しみで仕方ありません。毎回、更新を楽しみにしています。これからも頑張って下さい。 (3月26日 10時) (レス) @page36 id: 3780d68ff4 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - にゃんさん» わーありがとうございます🥹そしてユンギペンさま…ご期待に添えられるかわかりませんが、良ければ最後までお付き合い頂けたら嬉しいです🥹 (3月21日 9時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かむ | 作成日時:2024年3月20日 20時