3 ページ3
私の引越し祝いは来週末に決まった。
主催は勿論、ドユンで。
食器を買い足す事と、飲み物を揃えて置く事は私の役割となった。
洗練されたエントランスを抜けてエレベーターに乗るだけでも、まだ胸が躍る。
退勤時間は少し遅くなったけど、全然気にならない。
それに私が思った通り、住民とすれ違うのは外くらいで棟の中に入ってしまえば静かな物だ。
まるで他の家には誰も居ないと錯覚してしまうくらい。
高級アパートの良い所の一つでもある。
民度が高いというか、プライベートを重んじるというか、他人に良い意味で興味もなくて。
「あ」
自分の家のドアが見えた時、隣の家のドアが開いて。
思わず小さくそう声を漏らして立ち止まってしまった。
玄関のドアの前に置かれた袋を手に取ろうとしているから、行っちゃいけない気がして。
顔を合わせちゃいけない気がして。
そう思うなら背中を向ければいいのに、自分の家まであと少しの所でそれは出来かねたらしい。
そうこうしてるうちに袋を手にした隣人が私に気付いた。
髪の色が凄い。
黒い色素が見当たらない、銀にも似たグレー。
肌が白____
「何?」
低い声。
目の前の隣人の声、だと思う。
話しかけられるとは思ってなくて、馬鹿みたいだが後ろを振り返った。
誰も居ない。
やっぱりこの人が言ったんだ。
「、何、言われましても…私の家がそこに」
隣人が立っているドアのすぐ隣のドアを指差すと、その私の指を追って見て
「あー隣の、どうも」
適当な会釈なんかするから、発光して見えるグレーの髪がポサポサと揺れた。
一応私も同じ様に軽く会釈を返した。
その後で隣人の手にしてるのは配達で来たであろう、チキンの紙袋だと気付いた。
私も今日はチキンを注文してしまおうかと、久しく食べていないその店の袋を眺めていただけだったのだが。
隣人が'これ?'と言ってその袋を持ち上げて見せた。
私は何も言ってないのに"これ"とは…
「あげないよ、食べたいならご自分でどうぞ」
何が面白いのか。
ふっと鼻で小さく笑ってドアの中に引っ込んだ隣人。
か、感じ悪…!
別に頂戴なんて言ってないし!
感じ悪!!
553人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かむ(プロフ) - サマンサさん» 彼には平然と煽ってもらいたくてこうなりました😂 (3月27日 19時) (レス) id: 03d417d136 (このIDを非表示/違反報告)
サマンサ(プロフ) - 煽り上手なユンギ痺れます...! (3月27日 17時) (レス) @page43 id: 950212af01 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - 苺あめさん» こちらこそ目を通して頂きありがとうございますㅜㅜ少しのんびり更新ですがにはなってますが是非最後までお付き合いいただけたら嬉しいです! (3月26日 12時) (レス) id: e587d3099d (このIDを非表示/違反報告)
苺あめ(プロフ) - かむさん、ユンギのお話をありがとうございます。ユンギと隣の彼女の関係が出会ってから急激に近くなって、でも元カノも出てきたりして、この先の展開が楽しみで仕方ありません。毎回、更新を楽しみにしています。これからも頑張って下さい。 (3月26日 10時) (レス) @page36 id: 3780d68ff4 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - にゃんさん» わーありがとうございます🥹そしてユンギペンさま…ご期待に添えられるかわかりませんが、良ければ最後までお付き合い頂けたら嬉しいです🥹 (3月21日 9時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かむ | 作成日時:2024年3月20日 20時