行ったり来たり行き止まり

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何となく中身は見ちゃいけないような気がして目を背けたまま、テレビの横に置いた。
テレビの横に置けば嫌でも目に入るから忘れないだろうと。

袋を受け取ってしまった手前、必ずユンギに渡さなきゃならないのだけれど、隣に住んでるというだけで私もユンギがいつ帰って来るなんて分からない。
無論、連絡先なんてものも知らない。

じゃあユンギが帰宅するまで玄関に永遠座ったまま、足音やドアの開閉音に耳をそば立てているかって？
そんな馬鹿な。

正直、とても面倒な事を受けてしまったのだけれど、もう受けてしまったのだからどうしようもない。

それにしても、顔が拳くらいしかない綺麗な人だった。



いつまでも考えていたところで埒があかないので、自分がやるべき事をやって、たった今入浴が済んだところだ。
テレビを付けて窓を少し開けると、まだホカホカの身体に夜風が冷んやりと冷たくて気持ちが良い。

ふと隣が気になって目を向けたが、部屋に灯りは付いてないようだ。


「、まだ帰って来てないか」


独り言が夜風にのって消えていく。

ふと空を見たら偶然、まさか今日が満月だなんて。
だから部屋に戻ってテーブルにある携帯を手にして音楽アプリを開く。
ユンギの歌を聞こうと。

どうせ隣は不在だ。
Bluetoothで自宅のスピーカーから流れるようにして、音量は大きめで。
同期が教えてくれた歌を。


ーーー♩


インターホンが鳴ったのはサビを完全に聞き終わる前で。
最初は聞き間違いかと思った。
でも物は試しと音楽を止めるともう一回インターホンが鳴って。

まさか？


「……は…」


「音がでかいんだよ」


恐る恐るドアを開けたら案の定。
見るからに"呆れてます"と言った顔で額を抑えて溜息をついたユンギだ。

なんでこう良いんだか悪いんだかのタイミングでいつも現れるのかな…
なんて思っても口には出来ないからとりあえず


「、おかえりなさい」


待ってたわけでもないのにそんな言葉が出た。
窺うように目を向けると、額を抑えたままのユンギも私に目を向けた。
バチッと音がするみたいにしっかり目が合う。


「なんで今帰って来たって分かんの？、ただいま」

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