-Sugar High Ⅱ-【紅一点:YG】 (ページ10)

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スロウダンス‥‥【JM】ページ10

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※過去

『‥ジミナ？』

昼からのオフを練習に費やそうと事務所に向かい、練習室のドアを開けると先客が居た。

「あ、ヌナお疲れ様。ヌナも練習？」

『ジミナもお疲れ。うん、自分のパート‥ちょっと不安だったから。』

「あは‥僕もだよ。同じだね。」と笑うジミンはどことなく元気がないように見える。いつもなら「安心してヌナ。僕が手取り足取り教えてあげる！」と可愛い笑顔を見せてくれるのに。

私はここに来た当初の目的を一旦頭の隅に追いやり、両足を抱え込んで座るジミンの隣に腰を下ろした。すると彼の弱々しい瞳がチラッとこちらを見る。

「‥ヌナは良いよね、絶対的なものを持ってるから。」

『絶対的‥？なにそれ、』

「歌だよ。ヌナが歌うとね、ヌナの歌声を聴くと‥みんなみんなヌナの虜になるんだ。まるで魔法みたいに。」

「それに比べて僕は何にもない。でもアミや‥何よりヌナ達に失望されたくない‥」と自分の膝に顔を埋め、体を小刻みに震わせるジミンの姿が以前の私そのものだった。でもそんな当時の私を救ってくれたのは紛れもなくジミンを始めとしたみんなで。

『私が辛い時、苦しい時、ジミナはいつだって私に「僕は何があってもずっとヌナのそばにいるよ。」って言ってくれるよね。』

「‥だってそれは本当だから。」

『私だってそう。ジミナが離してって言っても離してあげない。それにね、絶対なんてものはこの世にないんだよ。』

ようやく顔を上げたジミンは距離を詰め、私に寄り添うと右手を握ってきた。握り返した手から私の思いが伝わればいい、小さな温もりだとしても感じてほしい。

「僕、もっと楽に生きたいな‥。」

『だったらもっとジミナは自分自身の為に生きて。』

「僕自身の為‥？」

『確かにアミや皆は私達の生きる糧ではあるけど、理由として背負い込み過ぎないで。抱えきれない時はそれでもいいの。ジミナが自分の幸せの為に輝けることが、アミや私達にとっても幸せなんだよ。』

ジミンを真っ直ぐ見つめそう言うと、驚いた様子で暫く黙り込んだ後「‥そうかな？」と照れ臭そうに微笑むので『そうだよ。』と抱き締めた。

「ヌナ、八つ当たりしてごめん‥ヌナが居てくれて良かった・大好きだよ。」

『私もジミナが大好き。』

だから誰にも傷が付かないようにと一人でなんて踊らないで。広いフロアに二人きり、微かに流れている切ない曲はまるで素敵な台詞みたいで、きっと私たちの足取りを包んでくれるはず。

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JM HPD！